技能実習生を受け入れる際の給料の考え方について
技能実習生を受け入れる際、よく聞かれるのが給料はいくらに設定すればいいのか、という点です。
これらは、各会社ごとに異なると思いますが、やはり日本人を雇用する場合と同じという考え方が、一つの基準となるのではないでしょうか。
或いは、給料が他の会社に比べかなり高額であり、かつ正当な理由があるのであれば、日本人を雇用する場合の給料から監理団体への監理費用を差し引いた金額でも問題ないかもしれません。日本人は管理者、技能実習生は見習い、といった感じでしょうか。
逆に問題になるケースとしては、給料が最低賃金のみというケースです。確かに法律上、給料は最低賃金以上支払えば問題ありません。これは事実です。
ですが最低賃金しか支払う気がない会社では、ほぼ100%、技能実習そのものに影響いたします。そもそも面接に人が集まりません。
そりゃそうです。面接を行う際、給料が18万円の会社と12万円の会社であれば、わざわざ12万円の会社に申し込む人はいません。
技能実習制度の趣旨は一旦おいておくと、技能実習生は日本にバカンスに行くのではなく、お金を稼ぎに行くという一面がございます。このため、明らかに給料の安い会社に申し込む面接候補者はほとんどおりません。
また各都道府県ごとで最低賃金が異なりますが(一部業種を除く)、同一県内の建設会社(例えばトビ業)と、エアコンの効いた工場、共に同じ最低賃金なのであれば、大半の面接候補者は工場に申し込みを行います。つまり面接候補者が会社を選ぶ際、まず職種。続いて給料がその指標となっております。
もっとも、技能実習生の大半は残業をしたい、もっと稼ぎたいといった意欲あふれる方が多く見られます。このため残業によって結果的に給料が増加するのであれば、面接候補者が殺到することも事実です。建設会社であっても給料が高ければ今の所問題ございません。
ここで注意なのですが、たとえ給料が安くても一部の技能実習生送り出し機関(大手・小規模関係なく)は「できます、問題ありません」と回答するケースが多く見られます。
これは人を募集する際、給料を水増しして紹介したり、年間を通じて一番高かった月の給料を提示しつつ、あたかもその給料が毎月の給料であるかのごとく紹介したりと、後々トラブルとなるような方法を行っているためです。
その他、技能実習生の面接を行う際、トビなど他の職種に比べて集まりにくい業種が存在します。このため多くの送り出し機関では、トビの面接を行う際に「総合建設です、現場の掃除や片づけ、大工や内装など総合的にやります。足場を組む仕事もあるみたいです」このような説明を行うことが流行っている模様です。つまり足場を組む仕事だとかトビであることをできる限り伏せて、面接候補者を集める方法が行われております。
このような状況で面接を行い、技能実習生が日本に入国した後、聞いていた給料が違う、騙されたなどのトラブルに発展することとなります。窓口となっている通訳の方と、実際に募集を行う方は別の担当者・部署ですので、送り出し機関選びを行う際は注意が必要です。
また真偽の程ははっきりしませんが、複数の監理団体様からのお話によりますと、カンボジアの送り出し機関からの営業電話で、「カンボジアの技能実習生は手取り給料80,000円で大丈夫ですよ」といった勧誘が行われることがある模様です。
当然ですが、そんなわけありません。日本の技能実習生の給料手取り相場が、最低13万円以上といった状況の中、さらにはスマートフォンなどで情報共有が容易になっている昨今、「私は手取り8万円で大丈夫です!」といったカンボジア人実習生がいるなら、それはよほど意欲的な人であるか、或いは何かしら裏の圧力が働いていると考えてもいいかもしれません。
断言はできませんが、日本側には「手取り8万円で大丈夫」と話しつつ、カンボジア側には「手取り15万」といった説明が行われているのかもしれません。中国やベトナムの送り出し機関もかつてはそうでした(未だにそうですが)ので、カンボジアでも同様のことが行われている懸念は払拭できません。
このようなことが原因なのかもしれませんが、カンボジアは令和2年度の技能実習生失踪率が9.5%と非常に高い数値でした。失踪しないまでも納得できずに働いている人も含めると相当な人数が我慢してるのではないかと感じています。やはり送り出し機関の未成熟による問題と言えるのかもしれません。